自分の歯はできる限り残していく必要がありますが、残念ながら歯を失ってしまった場合は見た目や食べる機能が大きく損なわれます。

その場合には歯科治療によって機能と見た目を回復させていく必要がありますが、どのような対策が考えられるでしょうか？

選択肢についてみていきましょう。

.

１．義歯（入れ歯）

　第一の選択肢として義歯（入れ歯）があります。

　義歯（入れ歯）とは取り外し式の作り物の歯のことです。

　①　義歯（入れ歯）の条件

　　　使用にあたり、特に条件はありません。

　　　強いて言えば嘔吐反射（吐き気）が強い方は気持ちが悪くて使えない可能性があります。

　②　義歯（入れ歯）のメリット

　　　１）　失った歯が多くても、一本も残っていなくても選ぶことができる

　　　２）　他の歯を触る量を最小限にできる（必要な場合もあります）

　　　３）　外して洗える

　③　義歯（入れ歯）のデメリット

　　　１）　歯に金具をかけるので見た目が悪い（総入れ歯や金具を使わない入れ歯は例外）

　　　２）　他の方法より咀嚼力が低い

　　　３）　部分入れ歯の場合、支える歯に負担がかかる

　　　４）　異物感が強い

　　　５）　他の方法に比べて痛みが出やすい

　④　義歯（入れ歯）の選択肢

　　　１）　部分入れ歯

　　　２）　総入れ歯

　　　３）　ノンクラスプデンチャー（見える部分に金具を使わない入れ歯）

　　　４）　金属床義歯（見えない部分に金属のプレートを使用することで強度を上げ、異物感を減らす）

　　　５）　アタッチメント義歯（根だけ残った歯に特殊な装置をつけることで入れ歯の安定性を上たもの）

　※　３～５に関しては健康保険適用外になります。

細かい条件を問わず、ほとんどの場合は義歯を作ることができます。

安定感や咀嚼力は残った歯の状態や顎の骨、粘膜の質に左右されますが、すべて天然歯の場合の２５％程度の力・・・と言われています。

.

２．ブリッジ

　第二の選択肢として、ブリッジがあります。

　これは周囲の歯を削って連結した歯を作り、セメントで固定することによって取り外ししなくて済む歯を作ることです。

　①　ブリッジの条件

　　　１）　欠損部周囲に歯が残っている必要がある

　　　２）　周囲の歯がしっかりしている

　②　ブリッジのメリット

　　　１）　取り外しが必要ない

　　　２）　自分の歯を使って噛むため、噛んだ感じが自然である

　　　３）　咀嚼力は自然の歯に近くなる

　③　ブリッジのデメリット

　　　１）　周囲の歯を削らないといけない

　　　２）　周囲に歯がないと適用できない

　　　３）　使用した歯に負担がかかる

　　　４）　連結したところは歯みがきがやや煩雑になる

　④　ブリッジの選択肢

　　　１）　保険によるブリッジ（金属のフレームを使って歯を作ります）

　　　２）　保険適用外のブリッジ（ジルコニアを使用して歯を作ります）

残った歯を利用して噛めるようにする方法です。

咀嚼力は必要十分に発揮できますが、周囲の歯を削らないといけないことと使用する歯に負荷がかかることは難点です。

.

３．インプラント

　第三の選択肢として、インプラントがあります。

　これは、顎の骨の中にネジ状の金属を入れることで、自分の歯の代用をさせて歯を立てる方法です。

　①　インプラントの条件

　　　１）　インプラントをしたい部分に十分な量の骨がある

　　　２）　全身的に大きな病気やトラブルがない

　②　インプラントのメリット

　　　１）　歯がない部分に強い歯を作ることができる

　　　２）　骨で支えるため、噛む力が強くしっかり食べられる

　　　３）　失った歯が一本～多数の場合でも治療の選択肢が豊富

　　　４）　治療に関係ない部位は触らなくても良い

　③　インプラントのデメリット

　　　１）　骨の状態や全身の状態など、条件が揃っていないと適用できない

　　　２）　手術を伴うため、費用と時間が多くなる

　　　３）　うまくいかない可能性もある

　　　４）　自分の歯と同様に（それ以上に）歯茎の手入れが重要になる

　④　インプラントの選択肢

　　　１）　インプラントによるクラウン

　　　２）　インプラントを用いたブリッジ

　　　３）　インプラントを支えにした入れ歯

　インプラントを使用することで本来不可能だった場所にクラウン（かぶせ物・さし歯）やブリッジ、アタッチメント義歯（入れ歯）が可能になる等、治療のバリエーションが増えます。

　半面、費用や治療期間、手術が必要になる等の他にはない条件もあります。

.

４．（あえて）何もしない

　やや消極的な選択肢かもしれませんが、あえて何もしないという選択もあります。

　デメリットが目立ちますが、条件によっては何もする必要がない・・・という状況もあります。

　①　何もしないメリット

　　　１）　費用や手間ががかからない

　②　何もしないデメリット

　　　１）　隣の歯や、本来かみ合っていた歯が動いてくる

　　　２）　噛む力が落ちる

　　　３）　見た目が悪い。失った歯が増えると老けて見える

　　　４）　発音の際に空気が漏れて話しにくくなる

　　　５）　残った歯に負担がかかる

　③　何もしないことが問題にならない場合

　　　１）　かみ合っていない親知らず

　　　２）　歯並びの内側や外側に極端にはみ出している歯

　　　３）　乳歯

.

５．まとめ

　歯を失った場合には大きく分けて義歯（入れ歯）、ブリッジ、インプラントの3つの選択肢があります。

　お口の中の状態や費用、必要な時間、ご希望などによって適した治療方法は変わってきます。

　当院では皆様に合わせて治療法を相談してまいります。

　※当院では対応しきれないものに関しても、選択肢があるということは説明いたします。

　　そのような処置をご希望の際には、できる限り対応可能な医療機関をご紹介させていただきます。