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TCH(歯列接触癖)とは?【食いしばり】【予防歯科】【力のコントロール】
皆さんはTCHという言葉を聞いたことがありますか?
お口の中のトラブルはむし歯や歯周病など菌が悪さをしているものだけではなく、強い力がかかることによってもトラブルが起こります。
トラブルの原因の一つであるTCHと呼ばれる現象についてみていきましょう。
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1.TCHってなに?
TCHとは「Tooth Contacting Habit」の略語で、日本語として記載すると「歯列接触癖」と言います。
難しい言い回しになってしまいますが、平たく言うと
「歯ぎしり」「食いしばり」「噛みしめ」等、上の歯と下の歯を当てて力を入れてしまう癖の総称
です。
人の口はリラックスしている際、
・唇は閉じた状態で
・上の歯と下の歯が少し(2~3mmくらい?)開いてる(歯が当たっていない)
のが良い状態とされています(専門的には安静時空隙と言います)。
なぜその状態が良いのかというと、体と歯に無理な力が入らないからです。
上の歯と下の歯が常に接触していると力を入れて噛みしめる準備完了の状態であり、リラックスできていない状態となるのです。
そして何かしらの刺激(ストレス等)があると即座に力が入ってしまい、力を受け止める歯や歯ぐき、顎などや、力が入る口の周りや肩などの筋肉が力んでしまいます。
その結果として力がかかった部位にダメージを受けてしまうのです。
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2.TCHの問題は?
TCHの問題は無意識に力を入れてしまうことで身体のあちこちにダメージを与えてしまうことです。
1:歯のダメージ
・歯が削れたり欠けたりする
・知覚過敏が起きる
2:歯肉(歯茎)のダメージ
・歯ぐきが腫れたり、噛んだ時に痛くなったりする
・歯周病が悪化する
・歯ならびの変化
3:関節のダメージ
・顎の関節の不調(顎関節症)
・口が開けにくくなる
4:筋肉のダメージ
・肩こり
・頭痛
等の症状が複合的に起こってきます。
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3.TCHの原因は?
原因として考えられるのは
・緊張
・ストレス
・過度の集中
・睡眠不足
・悪い姿勢
などです。主に生活習慣に関係していることが多いと考えられています。
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4.TCHの対策は?
対策として大前提となるのが「ご自身での気付き」です。
ご自身でこのような癖があるとは全く思っていないか無いと思い込んでいる方は非常に多いため、まず気付きが第一歩です。
もちろん、歯科に受信した際は歯科医師や歯科衛生士がお口の中を観察するため、その特徴から発見・指摘を受ける機会も多いかと思います。
(口の中に特徴があるので見たらすぐにわかることが多いです)
次にご家庭でもできる簡単方法として、ポストイット(付箋)を使った方法を提案しております。
目立つ色(赤が良いと思っています)の付箋を買ってきて、日常目に付く場所にペタペタ貼っていきます。
テレビやトイレ、洗面所、布団の中、パソコンのモニターの縁など、日常目にする頻度が高いところが望ましいです。
そしてその付箋が目に入ったら口を開けたり動かしたりします。
癖を完全に止めるのは難しいのですが、口を閉じっぱなしにしない、力を入れっぱなしにしないことを習慣化していきます。
一番マイルドでとっつきやすい方法ですが、案外効果が出ます。
それでもトラブルが防ぎきれない場合、より高度なアプローチへ移行します。
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5.TCHまとめ
口のトラブルを起こす原因として力の入りすぎという問題があります。
その原因のうち大きな要素がTCH(歯列接触癖)です。
TCHの癖をコントロールすることでお口のトラブルを未然に防ぐことに繋がり、体の調子も良くなる可能性があります。
思い当たる節のある方は、ぜひ歯科医院までご相談ください。
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当院の予防についての考え方はこちら:力のコントロール