コラムCOLUMN
マスクの推奨が解除され、5月からは感染症分類が2類から5類に変更される(インフルエンザなどと同じ扱いになる)ことにより、本格的にアフターコロナがはじまります。
しかしながら3年に及ぶ生活制限の影響は非常に大きく、人の健康にとって影響がすでに出ている部分、今後予想される部分もあります。
院長の現場での私見を交えながらご紹介させていただけたらと思います。
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(既に出ている影響1)歯ぎしり、食いしばり、顎関節症の増加
以前からこのような患者さんは多かったのですが、ここ数年非常に増加しているように感じます。
急患で来院された患者さんが全て顎の不調と言う日すらありました。
仮説の域を出ませんが、「生活習慣の変化によるストレス」「マスクによる顔の圧迫」「人と会話を避けることにより1日中口を閉じている」「運動不足」などにより常時食いしばりをしている方が増加し、それが顎関節症の増加として現れているように感じます。
追記:マスコミでの報道もあったようです
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(既に出ている影響2)口腔乾燥の増加
これもマスクの影響が強いように思われます。
マスクをすると顔面が圧迫され、通気性もマスクをしていない時より悪化するため呼吸が苦しくなりがちです。
呼吸をしやすくするため、マスクの中で無意識に口を開けている方が増えているのではないかと推測します。
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(今後出ると予想される影響1)高齢者の口腔機能低下
身体機能を維持する最良の方法は「生活の中で使う事」です。
ところがここ3年のコロナ下での生活では外出制限や行動制限が数多く要請され、その多くは身体を積極的に動かすことやコミュニケーションをとることを制約することとなりました。
「カラオケ」「おしゃべり」「会食」
などはお口を非常に積極的に使う行動ですが、これらが片っ端から制約されましたよね。
また、全身の機能とお口の機能は非常に密接な関係にありますが(そもそも口は身体の一部です)、外出制限も加わって運動不足の方も非常に増えたようです。
これらは身体機能の老化を抑制する行動を制約したこととイコールなので、今後間違いなく長期的に高齢者の全身機能低下(そして寝たきりの増加)として影響を及ぼし続けるものと思われます。
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(今後出ると予想される影響2)子供の口腔機能発達不全
身体機能を成長させる最良の方法も「生活の中で使う事」です。
以前から昔の時代に比べ現代の子供は制約が多く身体活動の量は低下傾向にあったと思われますが、ここ3年のコロナ下の生活では行動を規制しやすい子供の活動制限が非常に多くみられました。
「はしゃぎまわる」「黙食」「しゃべる」「積極的に外に出ていく」「マスク」
等、大人に比べても学校単位で管理しやすいからか、大人より多くの制約を課されていたようです。
大人はすでに成長している状態で能力は維持できれば良いのに対し、子供はこれから成長していくので成長を制約されているのと同義です。
また、幼いうちに行動の制約を身に着けてしまった(身につけさせられた)子供は、今後の行動様式も現在の大人世代とは別物になっている可能性も考えられます。
こういった結果、今後数十年に渡って身体能力、口腔機能の低下と言う影響が出続けるのではないかと推察します。
「歯並び」「呼吸」「姿勢」「集中力」「免疫」等に影響が出るのではないかというのが心配ですね。
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ではどう対処するか
歯科領域からだけ見れば
「マスクは極力着用しないのが望ましい(呼吸器や免疫に不安がある場合を除く)」
「今まで以上に積極的に体、口を動かす」
必要があるように思えます。
ただこれは大人の場合で、子供の場合はより積極的なアプローチが必要になる場合も増えて来るのではないかと感じます。
一刻も早く元の生活を取り戻せることを願いますし、当院では歯科領域からサポートを行っていきます。
機能に関して気になる点があれば、ぜひお問い合わせください。
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