コラムCOLUMN
歯科治療の詰め物、かぶせ物は以前から「銀歯」が定番でした。
しかし昨今では審美ニーズの高まりや金属価格の高騰、デジタル化の推進、新素材の開発など様々な要因が重なって「白い歯」が徐々に保険で使用されるようになってきました。
近年導入されたCAD/CAM冠、CAD/CAMインレーについてご紹介いたします。

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1.CAD/CAM冠・インレーとは
近年健康保険で導入されたCAD/CAM冠・CAD/CAMインレーとは、歯型をデジタルスキャナーで読み取り、コンピューター上で設計・作成するハイブリッドレジン製(平たく言えばプラスチック)製の修復物です。
2.CAD/CAM冠・インレーのメリット
CAD/CAM冠・インレーは材質的に以下のようなメリットがあります。
1.白いので目立ちにくい(保険適用で白い歯にできる)
同じ健康保険適用の歯として銀歯が比較対象となりますが、銀歯と違って目立たないのが強みです。
2.従来のレジンより強度がある
製作工程でレジンの塊から冠やインレーを削っていくため物性が均質でムラがないので、旧来のレジンと比較して強度が上がっています。(金属やセラミックには劣ります)
3.金属ではないので金属アレルギーの心配がない
金属アレルギーの心配がないのも強みです。
金属アレルギーの方は全ての歯に適用することができるようになりました。
(医師による検査・診断が必要です)
従来の金属による修復の問題の多くが解消されているため、以前より選択しやすくなっています。
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3.CAD/CAM冠・インレーのデメリット
主に見た目のメリットがある反面、プラスチックは金属と比べた場合に強度に弱点があるためデメリットも存在します。
1.割れやすい
どうしても金属より強度が劣るため、噛み合わせの力が入った際に割れることがあります。
金属は摩耗して薄くなった際にも比較的強度が保たれるのに対し、CAD/CAMはプラスチックの類のため薄くなると割れてしまいます。
2.徐々に黄色くなる
プラスチック食器をイメージして貰うとわかりやすいかと思いますが、CAD/CAMは徐々に色が悪くなります。
セラミックの場合は変色しないという強みがありますが、この点劣ります。
3.歯垢のつきやすさ
その他の歯、特にセラミックに比べて歯垢がつきやすいのも難点です。
そのため歯周病の予防という側面から考えた場合、CAD/CAMインレーの採用は不安要素と考える必要があります。
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4.CAD/CAM冠・インレーの向いている人、向いていない人
前出のメリット・デメリットを考慮すると向き不向きがわかりますね。
<向いている人>
・健康保険の範囲でとりあえず歯を白くしたい方
・金属アレルギーがある方
<向いていない人>
・耐久性がある素材を希望する方
・予防効果を高めたい方
・歯ぎしりやくいしばり等の癖の強い方(TCHの項目を参照してください)
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5.CAD/CAM冠・インレーまとめ
CAD/CAMによる治療は過去の歯科治療の弱点である見た目やアレルギー対策に優れた選択肢を提供してくれます。
その反面素材としての限界があり、歯垢の付きやすさから予防効果を考えると疑問符が残ることもあり、適用する状況を選ぶ一面もあります。
個人個人でも、治療する場所によっても変わってきますので気になる方は是非西原ひだまり歯科にてご相談ください。
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保険適用の銀歯(金銀パラジウム合金)についてはこちら
令和6年1月9日追記
令和5年12月1日より健康保険で奥歯にもPEEKと言う白い(アイボリー色)のかぶせ物を作る事が出来るようになりました。
ただし、通常のCAD/CAM素材よりも色が不自然な色になるようです。
追加情報を作成できましたら改めて追記or新規記事を作成します。
参考記事はこちら