コラムCOLUMN
近年歯科医療において注目されている分野に、睡眠歯科医療というものがあります。
睡眠時の口腔の状態がお口の健康のみならず全身の健康にも影響があるという考え方に則った医療分野です。
口は食事だけではなく空気を取り入れる経路となっていることから、呼吸や免疫にも関係していると言われています。
今回はその睡眠歯科についてご紹介いたします。
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1.睡眠歯科とは
「睡眠歯科」で考える疾患は寝ている時に起きるお口のトラブルをひとまとめに考ええたもので、
大きく
「睡眠時ブラキシズム」・・・・主に歯ぎしりや食いしばり
「睡眠時無呼吸症候群」・・・・比較的軽度では「イビキ」になる
に分けられます。起床時には体の動きを意識的にコントロールできますが、
寝ている時には体をコントロールできないために起きるトラブルと言う点は共通しています。
これらは結果として
睡眠障害 → 生活の質を下げる → 寿命を縮める
という悪のサイクルへとつながるのです。
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2.睡眠時ブラキシズム
「睡眠時ブラキシズム」というのも聞き慣れない単語かと思いますが、これは一般的な言い方をすると
1:歯ぎしり (歯をギリギリ動かす。)
2:食いしばり(歯をギューッと噛みしめる)
ということです。
理想的には「上の歯と下の歯は食事の時以外は接触しない方が良い」のですが、
様々なストレスや睡眠時の姿勢などの要因によって歯と歯が常に接触するようになると多くのトラブルに繋がるのです。
結果「歯が削れてくる」
「歯が割れる」
「顎が痛い」
「肩こり」
「あたまが重い」
等の重大なトラブル を起こします。
また、「食いしばり」に関しては日中にも食いしばっている方が多く見られます。
(私見ですがコロナ窩以降非常に増えている気がします)
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3.睡眠時ブラキシズムの対応
寝ている時の身体の動きで難しいのは、
「寝ている間は意識して気をつける方法に乏しい」
ことです。
(反対に起きている間のクセは「意識して気を付ける」という予備段階があります)。
そのため一般的に
1:寝る時の姿勢や環境を整える
2:マウスピースを装着して寝る
といった方法で、原因になりやすい行動を減らしたり、起こるトラブルが最小限になるようにしていきます。
睡眠時ブラキシズムは完全には止められないので、緩和を目指すわけです。
マウスピースは健康保険適用でも作ることができて費用の負担も抑えられることから、
西原ひだまり歯科ではこの方法を選択することが多いです。
また、生活習慣や睡眠行動についてのアドバイスも行っています。
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4.睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症候群は歯科なの?と思われる方もおられるかも知れませんが、お口と呼吸は大いに関係しています。
睡眠時無呼吸症候群はいくつかの種類に分かれているのですが、そのうち閉塞性睡眠時無呼吸症候群と呼ばれる病態に対しては歯科にてマウスピースを製作して対応することがあります。
寝ているときに舌や顎が重力に合わせて下に降りてしまうと、気道が狭くなって軽度の場合は「いびき」として、
重度の場合は閉塞性睡眠時無呼吸症候群となります。
全てがお口の中だけが原因というわけではありませんが、お口の状態から症状が推定できることも多いです。
歯科診療時には毎回お口の中を拝見しますが、
「舌が大きい」
「口の中が狭い」
「歯のすり減りが著しい」
等の特徴は気道を狭くする特長と直結しているため、呼吸の問題が生じ始めている(生じている)方を発見できることがあります。
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5.睡眠時無呼吸症候群への 歯科での対応
睡眠時無呼吸症候群は歯科にも大きくかかわる分野ですが、歯科だけで完結できるわけではありません。
医学的に「診断」は医師が行うことが必須のためです。
そこで歯科では様々なお口やお口周りの状態を元に簡易検査等を行い、
その後睡眠時無呼吸症候群の診断が可能な医師の元へ情報と共に紹介を行います。
そこで装置等を使った実際の睡眠状態を調べる検査を行い、診断がついた場合治療が始まります。
その治療でマウスピースが適切と判断された場合に、歯科で専用のマウスピースを作製する可能性があります。
「いびき」
「日中の眠気」
などの症状がある方は、ご相談ください。
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6.睡眠歯科 まとめ
睡眠時のお口の状態は、呼吸や免疫などを通して全身の状態にかかわっています。
また睡眠のトラブルは高血圧や糖尿病など全身の病気にも深く関わっていることが近年知られてきました。
つまり、睡眠の問題は生活の質や寿命と言った点にも影響します。
実は歯科医院でも早期発見や治療で大きく関わることを皆様にも知って頂けたらと思いますし、気になる点は是非歯科医院にもご相談ください。
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※ 本記事はわかりやすさを優先するため、やや簡略的な記載になっております。.
※ 西原ひだまり歯科での治療は「歯ぎしり・くいしばり」「睡眠時無呼吸症候群用マウスピース」をご参照ください
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