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現代社会において、ストレスは多くの人にとって避けられない存在です。仕事や人間関係、日々の忙しさなどさまざまな要因で心身に負荷がかかることで、知らず知らずのうちに身体や習慣に影響を与えてしまいます。その一例が、TCH(Tooth Contact Habit)と呼ばれる「上下の歯を持続的に接触させる癖」です。
ストレスとTCHは深い関係があり、ストレスが引き金となってTCHの発現や悪化を引き起こすことがわかっています。今回は、ストレスがTCHを誘発するメカニズムやそれによる歯や口腔環境への影響、そして緩和するための対策についてご紹介します。

〇ストレスがTCHを引き起こすメカニズム
ストレスは、私たちの身体にさまざまな形で影響を及ぼします。その一つが、筋肉の緊張です。心理的なストレスを感じると交感神経が活性化し、肩や首、顎の筋肉が緊張状態に陥ります。この顎の筋肉の緊張が、TCHの発現につながります。
特に、デスクワークや細かい作業に集中している際、無意識のうちに上下の歯を軽く接触させてしまうことが多いとされています。これは、ストレスが原因で体が無意識に「何かに耐える」反応を示し、その一環として歯を接触させる行為が起きているのです。さらに、ストレスは睡眠の質にも影響を与えます。不眠や浅い眠りが続くと、就寝中に無意識にTCHを行う頻度が増えることがあります。このように、ストレスがTCHの原因として直接的にも間接的にも影響を与えていることが明らかです。
〇TCHが歯や口腔に及ぼす影響
・歯への負担と摩耗
TCHは歯に継続的な力を加えるため、エナメル質の摩耗を引き起こす原因となります。エナメル質は歯を保護する硬い組織ですが、長期間にわたる過剰な接触はこの保護層をすり減らし、知覚過敏や虫歯のリスクを高める結果を招きます。また、歯が摩耗すると形状が変化し、噛み合わせのバランスが崩れる可能性があります。これによりさらに不快感や噛み合わせの不具合が生じ、口腔機能全体に悪影響を及ぼします。
・顎関節症のリスク
顎関節症は、顎関節やその周辺の筋肉に痛みや違和感を生じます。TCHによって顎の筋肉に継続的な緊張がかかると顎関節に負担が蓄積され、顎関節症のリスクが高まるのです。他にも、顎の開閉がスムーズにできなくなる、音が鳴る、痛みを感じるなどの症状が現れることがあります。
・頭痛や肩こりへの影響
TCHによる顎の筋肉の緊張は首や肩の筋肉にも波及し、頭痛や肩こりを引き起こす要因にもなります。特に日常的に肩こりに悩んでいる方やデスクワークが多い方は、TCHが影響している場合があるため注意が必要です。
〇まとめ
ストレスとTCHの関係は密接であり、現代社会では誰にでも起こりうる問題です。ストレスが原因となって歯や口腔環境にさまざまな悪影響を及ぼす可能性がありますが、適切な対策を講じることでそのリスクを軽減することができます。ストレス社会を生きる中で、自分の心と身体を大切にしながら、健やかな毎日を過ごしましょう。
気になる症状が続くようであれば西原ひだまり歯科までお気軽にご相談ください。
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