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歯科でできる!睡眠時無呼吸症候群の治療法とは?
「最近、寝ても疲れが取れない」「家族にいびきがひどいと言われた」と感じている方、それは“睡眠時無呼吸症候群”かもしれません。眠っている間に何度も呼吸が止まるこの疾患は、放っておくと高血圧や心疾患のリスクを高めることが知られています。この病気の治療というと病院でのCPAP(シーパップ)療法を思い浮かべる方が多いかもしれませんが、実は歯科でも治療が可能なケースがあります。今回は、歯科で行える「スリープスプリント(口腔内装置)」による治療法を解説します。

〇CPAPとスリープスプリントの違い
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療法として広く知られているのが「CPAP(持続陽圧呼吸療法)」です。これは専用のマスクを装着し、気道に空気を送り続けて無呼吸を防ぐ方法です。中等症〜重症のSASには非常に効果が高く、多くの症例で用いられています。
一方、歯科で扱う「スリープスプリント(口腔内装置)」は、軽症〜中等症のSASに適応されることが多く、特に「CPAPはどうしても続けられない」という方や、「寝ているときの装置に抵抗がある」という方に選ばれています。
〇スリープスプリントの仕組みと適応する人の特徴
スリープスプリントとは、就寝時に口の中に装着するマウスピース型の装置です。下顎をわずかに前方に固定することで、舌根(舌の奥の部分)が喉の奥に落ち込むのを防ぎ、気道を広げる役割を果たします。その結果、いびきや無呼吸の発生を抑えることができます。
この装置が適しているのは、主に以下のような方です。
- 軽度から中等度の睡眠時無呼吸症候群と診断された方
- CPAPを処方されたが、装着が苦しく継続できない方
- 持ち運びや手入れのしやすい装置を希望される方
- 顎や歯の構造的に適応があると歯科医が判断した方
ただし、重度のSASや鼻づまり・顎関節症のある方などには適応できない場合もあります。
〇治療の流れと装着までのプロセス
スリープスプリントの作製は、以下のような流れで治療を進めます。
- お口の状態の確認と型取り
むし歯や歯周病がある場合は先に治療を行います。その後、スプリント製作のための歯型を採取します。
- 装置の作製と装着
数日〜1週間程度でスプリントが完成します。装着時のフィッティングを行い、問題がないかを確認します。
- 使用後の経過観察と調整
就寝時に使用していただき、経過を観察します。必要に応じて装置の微調整や使用感の確認を行います。
〇スリープスプリントのメリットとデメリット
スリープスプリントには、以下のようなメリットがあります。歯科医師の指導のもと、定期的なチェックと正しい使用が大切です。
- 持ち運びがしやすく、旅行先でも使いやすい
- CPAPよりも装着の煩わしさが少ない
- 電源を必要としないため、停電時も安心
- 保険適用で治療できるケースもある
ただし、以下のようなデメリットも存在します。
- すべての患者さんに適応するわけではない
- 顎の関節に負担がかかる可能性がある
- 使用を続ける中で調整や修理が必要なこともある
〇まとめ
睡眠時無呼吸症候群は「単なるいびき」ではありません。日中の眠気、集中力の低下、そして将来的な生活習慣病のリスクにもつながるため、早期発見と適切な治療が重要です。CPAPが主流ではありますが、「苦しくて続かない」「もっと気軽に使えるものを」とお考えの方には、スリープスプリントが有力な選択肢になるかもしれません。
快適な睡眠と健康な毎日のために、あなたに合った治療法を見つけましょう。
気になる症状が続くようであれば西原ひだまり歯科までお気軽にご相談ください。
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