
コラムCOLUMN
働き世代に多い「TCH(歯の接触癖)」の恐怖
近年、歯科の分野で注目されているのが「TCH(Tooth Contacting Habit:歯の接触癖)」です。食いしばりや歯ぎしりといった強い力を伴う癖は広く知られていますが、それ以上に見逃されやすいのが、日常的に無意識で行っている「歯の接触」です。多くの方が自覚なく続けているこの癖が、実はお口や顎に大きな負担をかけている可能性があります。
今回は、働き世代に多いTCHの特徴とリスク、そして日常でできる対策についてご紹介します。

歯は本来、接触していないのが正常
本来、安静時において上下の歯は接触していないのが正常な状態です。唇は閉じていても、歯と歯の間にはわずかな隙間があるのが理想とされています。しかし、仕事中やスマートフォンの操作中、集中しているときなどに、無意識のうちに歯を軽く触れさせてしまう方は少なくありません。この状態が続くと、顎の筋肉が常に働き続け、知らず知らずのうちに負担が蓄積していきます。
働き世代に多い理由とは
特にデスクワーク中心の働き世代では、TCHが起こりやすい環境が整ってしまっています。パソコン作業やスマートフォンの長時間使用により、前かがみの姿勢や集中状態が続きやすくなります。その結果、顎周りに力が入りやすくなり、歯の接触癖が習慣化してしまうのです。こうした状態が続くことで、顎のだるさや痛み、口の開けづらさなど、顎関節に関わる不調を感じることもあります。
「軽く触れているだけ」でも危険な理由
TCHの怖い点は、「強い力ではないから問題ない」と思われやすいところです。しかし実際には、弱い力でも長時間持続することで、結果的に強い負荷と同等、あるいはそれ以上のダメージを与える可能性があります。顎の筋肉が休む時間を失うことで慢性的な緊張状態となり、歯のすり減りや知覚過敏、詰め物・被せ物の破損といったトラブルにもつながることがあります。
今日からできるセルフチェックと対策
TCHの改善には、まず「歯は離れているのが正常」という意識を持つことが重要です。パソコンやスマートフォンの画面に「歯を離す」といったメモを貼るなど、気づくきっかけを作るのも効果的です。こまめに自分の状態を確認し、歯が接触していないかを意識することで、徐々に習慣を改善していくことができます。
その場でできるリラックス法
簡単に取り入れられる方法として、軽く口を閉じた状態で舌を上あごに優しく当て、歯を離すことを意識してみましょう。そのまま肩の力を抜き、ゆっくりと深呼吸を行います。特に息を吐くことを意識することで、筋肉の緊張が和らぎやすくなります。短時間でもこまめに行うことで、顎への負担を軽減することができます。
姿勢の見直しも重要なポイント
猫背や前かがみの姿勢は、顎や首に余計な負担をかける原因となります。背筋を軽く伸ばし、モニターの高さを目線に合わせることで、自然と力みの少ない状態を保ちやすくなります。作業環境を整えることも、TCHの予防・改善には欠かせません。
まとめ
TCHは誰にでも起こり得る身近な癖ですが、放置することで顎関節症や歯のトラブルへと発展する可能性があります。特に働き世代の方にとっては、日々の体調や集中力にも影響を及ぼしかねません。日常の中で少し意識を変え、こまめに力を抜く習慣を取り入れることが大切です。歯は離れているのが正常であることを意識し、将来のお口の健康を守っていきましょう。
