コラムCOLUMN
子供は常に成長しており、成長と共にお口の機能も発達していきます。
ところが近年は子供のお口の機能が十分発達せず様々なトラブルが起きていることが知られてきました。
近年「口腔機能発達不全症」と呼ばれる言葉や考え方が出てきていますので早速見ていきましょう。
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1.口腔機能発達不全症とは?
口腔機能発達不全症とは、15歳未満の小児で障害がないにも関わらず、食べる、話すなどの口の機能が十分に発達していない状態をいいます。
比較的わかりやすい特徴としては
「上手くかめない」(噛まずに飲む、くちゃくちゃ食べる 等)
「飲み込めない」
「発音(構音)がおかしい」(舌足らずなど)
「口呼吸」
「いびき」
など、口の機能を原因とする食事、呼吸、コミュニケーションといった問題が生じる事が多いです。
また、呼吸が浅くなることから副次的に免疫や集中力に問題が生じてくることもあります。
頭のバランスが整わないことから、悪い姿勢に繋がることもあるようです。
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2.口腔機能発達不全症の原因
口腔機能発達不全症は口周りの筋力や運動能力の低下が原因と言われています。
食事が柔らかくなったことにより口を使用量が減っていることや、
全身的な運動量の減少など環境要因が大きいようです。
(障害が伴う場合は、障害に対してのアプローチが必要です)
また、コロナ窩での生活により
「コミュニケーションの減少」(顔・・・表情の筋肉や、口の筋肉を使わない)
「歌を歌わない」(口やおなかの筋肉を使わない)
「マスク」(圧迫により呼吸に影響が出て口呼吸になったり、食いしばったりする)
なども関係しているものとみられます。
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3.口腔機能発達不全症の評価
大きく3つの項目に分けて評価します。
1.食べる機能
(離乳前)哺乳の状態を観察します。
(離乳後)咀嚼(噛み方):歯の数、むし歯などの状態、噛む回数、噛み合わせ など
嚥下(飲みこみ):飲込み時の表情、舌が突き出されていないか など
食べ方(行動):食べこぼし、むせ、偏食 など
2.話す機能
(離乳前)リラックス時に口が開いていないか
(離乳後)パ、タ、カ、ラ、サ行がきちんと発音できているか
常に口が開いていないか など
3.その他
(離乳前)極端な低身長、低体重、過体重
口腔周囲の過敏がないか など
(離乳後)極端な低身長、低体重、過体重
口呼吸の有無
扁桃の腫れ など
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口唇の閉鎖に関しては、口唇閉鎖力測定器と言われる装置を使って測定・数値化して判断します。
西原ひだまり歯科にも用意しておりますので、気になる方はお申し出ください。
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4.口腔機能発達不全症への対処
原因が明確な場合早期に対処することで成長をお口の促し、改善できることが少なくありません。
ご家庭で取り組める方法をいくつか紹介いたします。
1.口を閉じる
口の周囲の筋肉(舌、唇、頬など)の筋力が低いと口が開きっぱなしとなります。
そこで、口を意識的に閉じるよう訓練することで筋力の強化を図ります。
鼻にトラブルがある場合は耳鼻咽喉科の受診が必要な場合もあります。
2.よく噛んで食べる
筋力が弱いと噛む回数が減り、丸のみに近くなっていることがあります。
具体的には一口ごとに30回以上噛むようにします。
より負荷の高いトレーニングとしては豆腐を100回咬む練習をするというものもあります。
3.遊びを生かしたトレーニング
吹き戻し(巻き鳥)、風船を膨らませる、風船ガム、シャボン玉など口を使う遊びが効果的です。
また、お口の発達は口のことだけで考えるだけではなく、全身と関連して考えることも重要です。
全身を動かす遊びをより積極的に行っていく(使えば使うほど良い)ことも必要です。
どうしても昔の子供に比べると日々の全身の動きは少ない傾向にあるため、意識的に行っていく方が良いでしょう。
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5.口腔機能発達不全症まとめ
昔の子供に比べて運動量が減っている等の社会的要因があったところに、
近年のコロナ窩によるコミュニケーションや運動量の低下が加わったことで
お口の発達のトラブルは今後非常に増えて来ると予想されます。
少しの気付きや日々の行動変化などからも補っていくことが可能となりますので参考にしていただき、ご不安な点は(当院に限らず)歯科医院までご相談ください。
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